南ゆうこ yuko minami

むかしむかし
初めて中国に行ったころ
トイレにドアはなかった

ほんとなの?
まるみえじゃないか

ないものはなかった。

インドに行ったとき
それはそれは
摩訶不思議だった。
わけがわからない
わたしひとり逆立ちしてるような気分

もしくは逆か。

どこだったか
ミイラ博物館には村で亡くなった人たちのミイラ

つまり、これはお墓なのかな。

せかいは
あべこべなところだった

でも、本当は自分の知らないせかいというだけ。

そしたら 
ここの人たちは
どんな視線で生きてるんだろうと思った。

帰ってきたら
私たちの住んでる日常もまた
あべこべに思えた。

思ってる以上に
せかいは
あべこべだった。

ずっと以前、ピンクの猫を描いた。

ピンクの猫なんていない
そんなのいるわけないよ

どうかな
いるかもしれないよ

もらわれていった
ピンクの猫を思うとき
自分が少し温くなる。


子供は子供だった頃

腕をブラブラさせ

小川は川になれ 川は河になれ

水たまりは海になれ と思った


子供は子供だった頃

なにも考えず 癖もなにもなく

あぐらをかいたり とびはねたり

小さな頭に 大きなつむじ

カメラを向けても 知らぬ顔


ベルリン・天使の詩から
“子供は子供だった頃”.

詩.Peter Handke
映画監督:Wim Wenders

好きな詩